新たな液状化対策工法「脈状地盤改良工法」 薬液注入量を従来の1/3に
公益財団法人鉄道総合技術研究所(鉄道総研)、東日本旅客鉄道(JR東日本)およびライト工業は、低コストで工期を短縮できる新たな液状化対策工法「脈状地盤改良工法」を開発した。
軟弱な砂地盤の液状化対策には、地盤中に薬液を注入して土粒子を固着させ、地盤を固める工法(薬液注入工法)が広く用いられている。しかし、完全に液状化を防止するには、対策する地盤の体積に対して約30%の量の薬液を注入する必要があり、対策する範囲が長大となる鉄道路線では、より少ない薬液量で地盤を改良できる工法が望まれる。
そのような液状化対策工法として開発したのが「脈状地盤改良工法」。本工法には以下の特徴がある。
●粒子の濃度や粘性について本工法の特徴にあわせて新たに配合した薬液を使用し、注入する速度や薬液を固める速度を調整することで、砂地盤を主体とする液状化地盤においても広範囲に薬液が固化した脈状の塊(改良脈)を形成する。
●改良脈が多方向に広がると同時に、周囲の地盤を締め固めるため、対策する地盤の体積あたり従来の1/3の量の薬液で、液状化による構造物等の被害を十分に低減できる。
●薬液の注入量を従来の工法の1/3程度に減らせるため、「低コスト化」「工期短縮」が可能。
●施工する機械を小型化でき、施設の横から斜めにも施工できるため、都市部の狭い箇所や既設構造物の直下など、従来の工法では適用が難しかった現場にも適用できる。