JR東日本 東日本大震災以降の耐震補強対策の進捗と更なる取組み
JR東日本はグループ経営構想Vの中で、「災害に強い鉄道づくり」を目標に掲げ、大規模地震への対応として耐震補強対策を進めている。2016年度末までの5年間を重点整備期間とし、計画数量の8割の完了を目指していたが、2017年3月末時点で計画どおり8割の対策が完了した。
今後、残り2割の計画に対して工事を進めるとともに、発生が懸念される首都直下地震や活断層を起因とする地震への対応として、更なる耐震補強対策に取組んでいく。
1.東日本大震災以降進めている耐震補強対策の進捗
東日本大震災以降進めている耐震補強対策は、2012年度に工事着手し、従前から取組んできた高架橋柱、橋脚、駅舎の耐震補強に加え、盛土や駅天井等の耐震補強工事を進め、2017年3月時点で計画していた対策数に対して83%が完了した。
<対策数進捗状況>
(1)高架橋柱および橋脚耐震補強(新幹線および在来線)
従前の対策済数 | 東日本大震災以降進めている対策数 | 従前と合わせた対策済数 | |||
うち3月末時対策済数/計画数 | 完了率 | ||||
高架橋柱 | 新幹線 | 約25,200本 | 約8,630本/約8,640本 ※2017年6月末完了予定 |
99% | 約33,830本 |
在来線 | 約18,100本 | 約5,520本/約6,600本 | 84% | 約23,620本 | |
合計 | 約43,300本 | 約14,150本/約15,240本 | 93% | 約57,450本 | |
橋脚 | 新幹線 | 約2,340基 | 約600基/約680基 | 88% | 約2,940基 |
在来線 | 約540基 | 約1,330基/約1,910基 | 70% | 約1,870基 | |
合計 | 約2,880基 | 約1,930基/約2,590基 | 75% | 約4,810基 |
(2)盛土耐震補強(在来線:首都圏の一部線区)
東日本大震災以降進めている対策数 | |||
うち3月末時対策済数/計画数 | 完了率 | ||
盛土 | 御茶ノ水付近(河川側盛土) | 約1.2km/約1.2km | 完了 |
高さ8m以上の区間 | 約8km/約8km | 完了 | |
高さ6~8mの区間 | 約8.9km/約11km | 81% | |
橋りょう前後の盛土 脱線防止ガード | 約74km/約74km | 完了 |
(3)駅舎および駅天井等耐震補強 (新幹線および在来線の駅)
従前の対策済数 | 東日本大震災以降進めている対策数 | 従前と合わせた対策済数 | ||
うち3月末時対策済数/計画数 | 完了率 | |||
駅舎 | 約160棟 | 約50棟/約85棟 | 59% | 約210棟 |
駅・ホームの天井 | - | 約330駅/約560駅 | 59% | 約330駅 |
駅・ホームの壁 | - | 55駅/56駅 | 98% | 55駅 |
2.更なる耐震補強対策の取組み
首都直下地震の想定震度の変化や最新の活断層の知見に基づき、設備ごとの地震による損傷リスクや線区における地震の影響等を考慮しつつ、これまで実施している対策のエリア拡大および新たな対策の実施を検討していく。
(1)これまで実施している対策のエリア拡大を検討していくもの
高架橋柱※、山岳トンネル覆工、電化柱(モルタル基礎)、盛土(高さ6m以上)、無筋橋脚、桁支点部等
※新幹線高架橋柱については2017年度中に工事着手
(2)新たな対策として検討していくもの
山岳トンネル路盤、桁支点部、電化柱(砂詰め基礎)、盛土(高さ6m未満)、ホーム、ホームの上家等