東京地下鉄 平成29年度事業計画 はじめに
当社は、東京を中心とした首都圏の鉄道ネットワークの中核を担う交通事業者として、2004年4月の発足からグループ理念である「東京を走らせる力」の実現を目指して、様々な取組みを進めてきた。
中期経営計画「東京メトロプラン2018~「安心の提供」と「成長への挑戦」~」(平成28年度~平成30年度)においては、「安心の提供」と「成長への挑戦」をキーワードとし、「世界トップレベルの安心」を提供する地下鉄を目指し、ハード・ソフト両面での各種施策をこれまで以上に加速させている。また、「安心の提供」を大前提とした上で、新たな価値を生み出す取組みの全てを「成長」と位置づけ、さらなる企業価値の向上に向けた取組みを積極的に進めている。
昨今の緩やかな景気回復による経済活動の活性化や訪日外国人のご利用機会増加を受けて、当社の経営成績は堅調に推移している。一方で、中長期的には当社の事業基盤である1都3県(東京・神奈川・千葉・埼玉)においても、少子高齢化の進展に伴い、人口減少が見込まれるとともに、労務単価や物価の上昇による諸経費の増加等、対処すべき諸課題がある。また、首都直下地震や大規模浸水等の自然災害のリスクにも十分に配慮していく必要がある。こうした状況を踏まえ、当社は、持続的に企業価値を高めるための取組みを着実に進めていかなければならない。
平成29年度は、「安心の提供」として自然災害対策の推進、平成28年4月の半蔵門線九段下駅におけるベビーカー引き摺り事故や同年8月の銀座線青山一丁目駅における盲導犬をお連れのお客様の転落事故を踏まえたホーム上の安全対策をはじめとする鉄道の安全・安定運行に向けた取組み、輸送サービスの改善及びお客様視点に立ったサービスの充実等の取組みを着実に推進するとともに、「成長への挑戦」として駅周辺の活性化等による需要の創出、関連事業の拡大、海外鉄道事業の新たな展開及び新技術の開発・導入等についても積極的に取り組んでいく。
さらに、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のオフィシャルパートナー(旅客鉄道輸送サービス)となったことも踏まえ、開催都市の重要な旅客鉄道交通インフラに寄せられる期待に応えるとともに、その後の東京の発展への貢献も視野に、各種施策を精力的に進めていく。
当社は、首都東京の都市機能を支える交通事業者として、「安心=安全+サービス」の考えのもと、「東京の案内役」「東京圏の交通ネットワークのつなぎ役」という変わらぬ重要な役割を果たしていくとともに、新たな価値の創造により持続的な企業価値の向上を図り、全てのステークホルダーから信頼され、選択され、支持される企業グループを目指していく。